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小布施町の地域おこし協力隊の日々のあれこれ

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【活動日記】都市・農村共生社会創造シンポジウム in 信州に参加して

   

都市・農村共生社会創造シンポジウム in 信州

日時:平成28年9月28日(水)13:15〜16:30
会場:下諏訪町総合文化センター
主催:長野県町村会
目的:現在全国的に広がりを見せている「田園回帰」の潮流を、「長野県」から推進しながら、農山村の可能性や持続に向けた方策を探ることを目的としている。

確かちょうど開催日の1か月前くらい、こちらの案内を渡され、役場の方から興味あったらどうですか、とお誘いを受けた私。
興味深い内容というのもあって、「是非!」と連れて行っていただいたこのシンポジウム。

とても参考になるお話がたくさんありましたのでまとめてみたいと思います。

シンポジウムの聴講者は県内のみならず、山梨や静岡などからも足を運ぶ方がいたとか。私は知り合いの野沢温泉村の地域おこし協力隊の方にお会いできました。

それでは以下から本題に入ります。
緑の字体は私の所感、全体のまとめなどです。

1.はじめに

解題として、明治大学の農学部教授 小田切徳美先生のお話。

「田園回帰がひらく未来」というタイトルで、

「田園回帰」

というキーワードから農山村地域を紐解いていく内容でした。

そもそもこの「田園回帰」という言葉は政府公認の言葉であるということから、今後農村活性化を促進する言葉になってくることが予想されます。

今起こっている「田園回帰」の特徴として、箇条書きで抜粋も含め、以下まとめます。

女性に、「農山村で子育て」志向が強くなってきた。30代筆頭に。
・近年5年間での移住者は増加傾向。2014年度で全国11,735人、5年後には約5万人とも。
若者(20〜30代)が中心
女性割合の上昇:夫婦、単身、シングルマザーなど。
・職業に関しては「ナリワイ」も見られる。
※「ナリワイ」:都市部で生まれた言葉。漢字表記の生業とは区別している。意味は多業化
多様、柔軟なライフスタイルをするIターン者などがUターン者を刺激している。(例えば、0.3人前の仕事を0.3として捉えて、それらを複数やっていく様な考え方。)
孫ターンも増えている。
・大きな地域差もある。人気のある地域との差が顕著。2014年度の移住者の多い5県(岡山・鳥取・長野・島根・岐阜)で全国の48%を占めている。その中での市町村格差も大きいとのこと。
・3大ハードル(①閉鎖的なコミュニティ・②空き家問題・③仕事が無い)への意識の変化によりハードルが低くなってきている。
地域と移住者のマッチング:常にミスマッチを伴うという前提のもと考えるべき。
・移住者のライフステージに応じた支援が必要(移住段階・定住段階・永住段階)行政は移住段階に過度に集中している。
・移住者に選ばれる地域になるために、「地域みがき(づくり)」をするべきである。
・田園回帰は40年遅れの「逆都市化」(欧米では1970年代から)
・田園回帰は単なる人口移動ではなく、農山村再生のキー要素である。
3つの田園回帰というキーワード(第1:都市から農山村への移住者、第2:移住者と地域住民との関係性、第3:都市と農山村の関係性)

これらのことから、田園回帰が新たな日本のライフステージの片鱗を見せてくれている様に感じました。
移住者の意識に変化があること、特に仕事を複数することで生計を立てる考え方(ナリワイ)が移住へのハードルを低くしていることが興味深い点でした。
その一方、実は移住地域への偏り(人気のある所、そうでない所
)が顕著に表れていることは気に掛かりました。
単純に”人気がない”というより、その地域のPR不足や地元の人間の受け入れ体制(気持ち)の問題はあるのだと思いますが、このあたりは掘り下げると大事なキーワードが見えてきそうです。

大分、田園回帰というテーマに食指が動いたところで、実際の事例を元にお話しが続きます。

2.池谷集落の活動から、多田さんのお話

ここで、発表者は、十日町市地域おこし実行委員会の多田朋孔さんへと移ります。

「池谷集落の活動から展望する 都市・農村共生社会」というタイトルで、事例を交えながらのお話でした。

多田さんが所属する、

十日町市地域おこし協力隊実行委員会

は、平成16年10月に起きた新潟県中越大震災の震災復興支援のボランティアとの出会いを通して、平成17年3月に池谷・入山集落住民全体で立ち上げたNPOの団体だそうです。

震災復興・援農ボランティアから地域おこしボランティアへとその役割を変え、平成20年2月には池谷・入山地区の「地域復興デザイン計画」を策定。

この、デザイン計画ですが、日本の農業・農村の問題に正面から取り組み、集落を存続させていこうという理念のもと実行されています。

<デザイン計画の実行内容>
① 米直販の本格実施 ⇨ 収入を増やす。
② 都市交流の促進・事業化を模索 ⇨ 仕事・収入を増やす。
③ 後継者育成・定住促進 ⇨ 住まい・住む人へのケア。

また、NPO法人としてのビジョンには、日本の過疎の成功モデルを示す目的もあるそうです。

・無農薬や無化学肥料での米作り
・組織としての営農
・年間を通じた体験イベント
・農業後継者育成住宅「めぶき」建設 ⇨ 2015年9月より入居開始。インターンも受け入れている。
・田舎での起業支援

など、様々な活動を通して、今や移住希望者や海外からも注目をされる地域となっています。

今後目指すこととして、
まず地域内において、自給自足した生活ができること。
そして、地域外部とも(横の繋がり)お金やモノや人のやり取り、行き来があること。

を掲げておりました。

正直、私はここの地域がこんなに力を入れているということや、地域おこし実行委員会なる団体があることを知りませんでした。
池谷集落が、日本の過疎地域全体の成功のモデルケースを作ろうとしていることについて見てみると、この地域の利点も欠点も丸ごとビジネスチャンスとして捉えている所に面白さを感じました。
特に”農”に力を入れ、日本の食糧自給率低下の問題に一石を投じる多田さんたち、池谷集落の皆さんに興味が湧きました。一度学びに行きたいと思います。

3.移住者の相談状況について

さて、次は東京に有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」の相談部門マネージャーである宗像真弓さんのお話。

まず

移住希望者は増えているのか?

という単純な疑問から。

実は、2008年から2015年の7年間で、センターへの問合せや来訪者の推移は8.7倍に。
更に、2008年度50〜70代が69.6%を占めていた利用者は、2015年度には20〜40代が67.4%と若年化

また、移住希望地ランキングにも変化があり、今は半数以上が西日本の相談なのだそうです。(東日本大震災の影響か?とのこと。)

ちなみに、
2015年ふるさと回帰支援センター調べでの移住希望地ランキングによりますと・・・・

1位:長野県
2位:山梨県
3位:島根県
4位:静岡県
5位:岡山県

だそうです。長野県人気の理由は「行ったことがあって良い所だと思ったから」という声が多いそうです。きっと都心からアクセスしやすいからでしょうね。

UIJターンで見ると、Iターン者は6割で最も多いものの、Uターン者は過去に比べて増加傾向にあるそう。特に秋田県においては、56%のUターン者の希望があるという興味深い結果が。
※秋田県は人口減少が深刻で、移住促進により力を入れており、A(秋田)ターンなる言葉も生まれている。

さて、移住希望者は「目的:何かをしたい」「場所:その地域に住みたい」という思いを持っている。
ただ、生活面での不安は大きい様ですね。
これについては、実際に地域に住んでいる人の家計簿や、何にどのくらいかかるかまとめた表などをお見せすることで移住希望者側へ見える化できます。

失敗事例ももちろんあって、

情報収集不足
理想と現実のギャップ

(マスコミの表面的な情報のみでの憧れ)

などは気をつけたい所だと言います。
受け入れ側も移住者側も、この2点は心得ておきましょう。

ということで、やはり移住者は若者を中心に増えている様ですね。
この事実を知ってなんとなく安心しました。
ただし、移住する前に大事なことは情報収集はもちろんですが、やはり現地に出向くことだと思います。
行ってみると、案外思っていたのと違うという感想やもっと好きになったという感想や色々持つと思います。こればかりは地域との『相性』かなと思ったりもするんです。田舎でやりたいこととその地域の掛け合わせ、そこに”地元の人”が加わることでもっと自分のこれからの生活がリアルに見えてくる気がします。移住前に是非その地域の人をしっかり見て話してみてください。

 

4.パネルディスカッション

さて、最後は

「移住者と創る新しい農山村」

というテーマで90分間、4名のパネリストのトークが展開しました。

これが地域差が出ており、なかなか面白かったので頑張ってまとめてみます!

<パネリスト紹介>
1人目(地元)   :松川村より、松川村長 平林 明人 氏
2人目(移住者):生坂村より、フードコーディネーター 中村 忍 氏
3人目(移住者):飯島町より、地域おこし協力隊 木村 彩香 氏
4人目(移住者):十日町市より、地域おこし実行委員会事務局長 多田 朋孔 氏

そして、全体のコーディネートを明治大学の小田切 徳美先生。

それぞれの活動発表もそれぞれ個性的で面白かったのですが、割愛させていただき、各地域別の状況を比較してみたいと思います。

●移住者の状況
松川村
ほとんどない。新規就農者で言えば6名程。
生坂村ポツポツと地域おこしや新規就農者など、パラパラと空き家を購入される方も。
飯島町徐々に年代も幅広く増えてきている。
十日町市ポツポツと来ている。


●なぜ移住してきているのか。
松川村
:今は移住者の動きは少ないが、農家民泊や台湾学生との交流などの体験をしてきた中学生がいずれ移住してくれるようにと力を入れている。
生坂村ワークライフバランスを考えた結果。また、ビジネスモデル作りとしての就農の為。定着している他の就農者も多く安心感があったことなどから。
飯島町地域のキーマンとなる人が良かったから。移住コーディネーターが熱心であったことが決め手。
十日町市:お金を基軸に生活していることに疑問を感じた。地に足のついた生活をできる社会を目指してきた(ビジネスモデル作り)。自給自足をしたかった。

●移住者と地元の人との関係性
生坂村:移住者と地元民との関わりは少ない。農業を切り口に人が入ってきている背景もあり、就農などで生活に精一杯な所がある。
飯島町そば打ちの会という場で移住者と地元民との関わりがあり、その中で地元民が褒められたりすることで元気になっていっている。
十日町市外部の人間(特に都会)に褒められる経験をすることで気持ちが上向きになっていく。地元民は自分の町は好きだがどこかで都会の方が上だという劣等感も持っているという。
地域が移住者を選ぶ。故に最初の移住者は大事である。受け入れ態勢もそれにより変わる。

多田さんのこの発言。
ここで、ヒートアップしたのがこの疑問。

地域は移住者を選ぶことはできるのか?

これに対し、
「まず来てもらおう。こちらが選ぶのは難しいのでは?」という意見。「その後でみんなで世話すれば良い」
また、
「事前に地区の行事等の説明を行政側がしっかり行うことで意見の違いを抑制する。」
という意見もありました。

結果的にはどちらも、地域のしきたりを理解してもらって、地元に馴染んでもらえる移住者という部分を主張しており、やはり移住するということはその地域に深く入り込んでいくという部分はどの地域も同じなのだと思わざるを得ないトークテーマでした。

ここで、小田切先生が

選ぶ地域は選ばれる

とズバッと言い放ちました。
明確な情報発信が、最終的にはそれを望む移住者を掴むことになるだろうという主旨のお話。

シンプルながらに的を射ており、地域ブランディングの話にも結びついてきそうです。

最後に先生のまとめとして3点、

① 田園回帰傾向の実態:多様な実態や思いがあるということ、人が人を呼んでいるのだ。
② 移住者について:地域の情報を的確に届けること。地元民と移住者を繋げるプラットフォームを作ることが大事。
③ 行政は何をすべきか:(真摯で)きめ細かな対応。移住希望者にとって相談に乗ってあげる人の存在の大きさを考えるべき。

を総括として終了いたしました。

 

5.最後に

大変盛りだくさんのシンポジウムで、地域おこし協力隊としても得るものが多い貴重な3時間超でした。

話の中で挙がった言葉で、一番自分に刺さったのがこの図式。
よそ者はしがらみがない

しがらみのない人は新しい波を起こしやすい

移住者と地元の役割分担が大事。


つまりは
移住者は移住者にしかできないことがある!
敢えて”移住者”としてその地域に住むことが大切なことだったりする。

私は移住者である。たくさん悩みもあったのですが、「所詮よそ者」ということを改めて受け止めることができました。

パネリストの皆さんには大変勇気をいただきました。

そして移住者として今いる地域で何ができるか考えると可能性ばかりだと思わざるをえません。

外から見るからわかるその地域の良い所やそうでない所。

他の地域と共通する部分と異なる部分。

いろいろなことを見ながら感じながら、また活動していきたいと思います。

 - 地域おこし, 思考, 日記, 田舎暮らし