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小布施町の地域おこし協力隊の日々のあれこれ

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都市農村関係学を読んで考える地域・共同体のこと(人と人との関係性の新しい在り方)

      2016/10/20

島根県海士町の「巡の環」の信岡良亮さんがまとめたブックレット「都市農村関係学」を読みました。
彼が島に移住してきて感じたことを織り交ぜながら、

人と人との関係性の新しい在り方

を探る一冊となっています。

前段が長くなりましたが、いよいよブックレットの内容に移っていきます。
お時間がある方はこちらもご参考までに。都市農村関係学を読んで考える地域・共同体のこと(海士町の取り組みとは)

4.人口が減少するということはどういうことか

まず、人口が減少する社会のデメリットとして筆者が述べているのは・・・

① ひとり当たりのインフラ負担が大きくなる。
② 既存の医療や教育などの社会保障の維持が難しくなっていく。
③ 経済が縮小していく。
④ 人の努力を評価するのが難しくなっていく。
⑤ 人材の流出が激しくなる。

という5項目。
④についてはどういうことかというと、
人口が減ることで売り上げや利益が縮小し、従業員の努力むなしく給料は減ってしまう、という状況が生まれてしまう為だそうです。

しかしながら、メリットもあります。

① ひとり当たりの自然資源の配分が増える。
② 環境負荷が下がっていく。
③ 危機感が共有された場合、ひとりひとりが大切にされる。

ここで、非常に面白い考え方だと思ったのは③です。
前段の海士町の取り組みにあった様に、危機感を共有した町民たちが様々な働きをしました。結果として10年で300人以上のIターン者が移住しているそうです。

危機感が共有されると、ひとりひとりの社会的な多面性が見える様になります。
さてそれはどういうことか・・・。

『すべての人が生活の中でたくさんの役割をこなしている。』

1人の町民として
会社員であり、
納税者であり、
親であり、
PTA役員であり、
その他いろいろな役割を持っている。
それらが活かされて、社会が成り立つのだと書かれています。

人口が少ない社会ではその多様な側面がよく見えるようになってくるというわけなのです。

人口が多ければ、「代わりはいくらでもいる」という一言で片付けられてしまうことも、人口が少なければ、「あなたじゃないとできない」ということが出てきます。

これが、人口減少により
ひとりひとりが大切にされる
というメリットの考え方。

とても大切な事であると感じるとともに、私も小布施町に移住してきて意識していたことでした。
みんなが、”いくつもの顔” を持っていること。
同様の方々と様々な場所でお会いするのですが、その時によって立場が違っていることがあります。

人が少ないからいろいろなことを兼任しなければならない。

田舎はこうやって成り立っているんだなと思った事、同じ町に生活している人の顔が、様々なコミュニティに参加する事でだんだん見えてくる事。
これは今後のひとりの人間としてのあり方の大きなヒントになるだろうと感じています。

5.エコロジーとエコノミーについて

よく耳にするエコロジーとエコノミーという言葉、大まかには「環境」と「経済」のように捉えられるのですが、筆者はサティシュ・クマールというイギリスのシューマッハーカレッジ大学院学長の以下の解釈を読み、感銘を受けたそうです。

エコロジー = ecoの語源のoikos(家)+logos(論理)
エコノミー = oikos(家)+nomos(習慣,法律)

つまり、

エコロジー:この世界における有り様や成り立ちを支えるもの
エコノミー:運営方法、解決方法

であり、両者は補完的な考え方にあるのだということ。

簡単に言えば、生産性を上げる能力であるエコノミー性の高い都市と、人や再生可能な資源などを育むエコロジー性の高い田舎という、稼ぎが得意なお父さんと、育てるのが得意なお母さんという一つの共同体(家)として見えてくる。

この考え方、私も新発見!何てわかりやすく、面白い捉え方なんだろう。

しかし、現状は両者が調和する機会は少なく、互いの尊さや大変さを理解せず別居を続けている夫婦のような状態に似ていると述べています。

要はエコノミー性の高い都市が重視され中心となっているバランスの悪さ、ここに問題があります。

エコノミー性が重視される都市。

人が多すぎて分業化が進む。誰がどんな役割を果たしているか見えづらい。

たくさんお金を稼ぐ目立つ人のみが評価される。
(サッカーで言うところの、シュートを決めるフォワード)

高収入、専門性の高い仕事に集中する。
(直接、金銭的評価に直結しない仕事は敬遠されるように…。)

そうやって生産性の差を作れば作るほど、他者のしていることがわからなくなり、互いを評価することが難しくなる。

生産性と評価のジレンマ

今、求められているのは、
エコノミー性の高い都市と、エコロジー性の高い田舎の間を繋ぐ関係性である。
ということだそうです。

では、次から”関係性”というところをもう少し掘り下げていきます。

続き⇩

都市農村関係学を読んで考える地域・共同体のこと(人と人との関係性の新しい在り方2)

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