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小布施町の地域おこし協力隊の日々のあれこれ

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都市農村関係学を読んで考える地域・共同体のこと(海士町の取り組みとは)

      2016/09/02

島根県海士町の「巡の環」の信岡良亮さんがまとめたブックレット「都市農村関係学」を読みました。
彼が島に移住してきて感じたことを織り交ぜながら、

人と人との関係性の新しい在り方

を探る一冊となっています。

ここには”地域”や”共同体”を考えるヒントがたくさん詰まっていました。
本の内容の前に、非常に興味深い内容でしたので事前情報としての海士町の概要から説明させていただきます。
(ブックレットの内容は4から。以下のリンク↓)
都市農村関係学を読んで考える地域・共同体のこと(人と人との関係性の新しい在り方)

1.島根県の離島、隠岐諸島にある海士町とはどんなところなのか

 
・本土から60kmも離れている離島。
・本土からの交通は、高速船で約2時間、フェリーで3時間ほど。冬場は季節風の影響で欠航して孤島化することもある。
・人口2,300人ほどの小さな町。
・年間に生まれる子どもの人数は約15〜20人。
・人口の約4割が65歳以上。
・島には高校までしかない為、就職や就学のため95%の若者は一度島外へ出てしまう。(Uターン者は2〜3割)→ 以上が超少子高齢化の過疎の離島の現実。

・・・

あなたはどう思われますか。

大変そうだねーと他人事の様に感じる方が大半かもしれませんが、この島の人口構造、40年後の日本とかなり近い形をしている、という筆者の見解。
常々、田舎は将来の日本の縮図だと思っていた私にとっても筆者がブックレットに書かれていた以下の言葉が響きます。

“この島における人口の課題解決が、将来の日本に大きく貢献するかもしれない”

2050年人口ピラミッド

出典:「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)      (http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sh2401top.html)

 

現在はこの島に来ると皆がその魅力に虜になってしまい、移住する人が続々と現れるという。

なぜなのか、そこには様々な理由がありました。
ヒントを探っていきましょう。

2.他地域より早く危機意識を持った海士町

 
今でこそ一般化した「Iターン者の活用」
これをいち早く行ったのは海士町だと言われています。

また、平成14年5月に山内町長になったことで、行政職員の意識改革化が促進、
平成16年3月には”守り”と”攻め”の「自立促進プラン」が策定されました。

「守り」
主には経費削減について。行政内改革。

・退職する職員を補充しない。不要な役職を廃止。早期退職による職員数の削減。
・議員数削減。
・経常経費等の見直し大幅な給与カット(町長も自らの給与30%カット)
そして凄いのがここから↓↓↓
・町長が給与カットする流れで管理職、一般職員からも自主的な給与カットの申し出があったというエピソードがある。
・議会からも報酬カットの申し出あり。
・老人クラブからバス料金の値上げや ゲートボールへの補助金を返上する申し出まで。

これらに、住民たちの危機意識が表れています。

「攻め」
地域資源を活かし、島に産業を創り、島に人(雇用の場)を増やし、 外貨を獲得する。

島を活性化させる(島まるごとブランド化)

U・Iターン者中心に、新産業創出。
主に、
岩牡蠣「春香」の事業化・隠岐牛の生産・CAS(Cells Alive System)という新しい凍結設備の導入・天然塩の生産・干しナマコの生産
など。
ここまでできるのは町民の『危機意識』故だと感じます。
なんとかこの島を持続させていこうという思いが島全体を積極的に動かしていったのでしょうね。

3.平成19年度 人づくりを重点施策に・・・

 
そして、海士町が始めた面白い取り組みが、

人づくり

です。
教育の基本である「知(智)」「徳(情)」「体(健)」に加え、
今後さらに重要性を増していく
「コミュニケーション能力(結)」
「意志の力(志)」
持続可能な地域社会の形成には欠かすことができない
「地域や自然と共に生きる力(地)」
を加え、そうした人材を育てる為の工夫を行ってきました。

有名な、<島前高校魅力化プロジェクト>も、この人づくりの取り組みの延長線上にあると考えられます。
興味深いのが、「地域創造コース」なるものがあり、実践的なまちづくりや商品開発などを通し、地域づくりを担うリーダー育成を目指すというもの。

このプロジェクトの効果もあり、島外からも学生が集まる程注目されています。

<島まるごと大学構想>というのもあります。
島全体を大学のキャンパスに見立て、課題を見つけ、調査し、解決策を考えるなど、明日をつくるための体験型の学校にしようという構想。
筆者が取締役を務める、「巡の環」が実施している五感塾(企業人の人間力育成研修)などもその一環だそうです。

さて、ここまでが長くなりましたが前段です。
海士町の取り組みが当時は前衛的であったことや、地域活性化に成功している島として注目される理由がわかってきました。
挑戦してみる、そして諦めていないことが海士町の強さではないかと感じます。

ここまでの参考論文は以下。

「海士町にみる「地域づくり」の本質」ー法政大学地域研究センター富沢木実

さて、次からブックレットの内容から冒頭で述べた様に、

人と人との関係性の新しい在り方

を探っていきます。

続き↓↓
都市農村関係学を読んで考える地域・共同体のこと(人と人との関係性の新しい在り方)

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